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地球は変わった。1000年前、たった一度の戦
争が全てを破壊し尽くした。使用されたのは遺伝子
までをも破壊すると言われた化学兵器や、昔ながら
のミサイルや爆弾に加え生命反応を示す物だけを破
壊するという、原子爆弾の数千倍はあると言われる
破壊力を持った新型の爆弾。地上は荒れ果てた。全
ての植物は一度死に絶え、後に伸びてきたのは以前
とは比べ物にならないくらい巨大化した、毒々しい
色の葉をつけた草や樹木。咲く花は毒を含んだ花粉
を撒き散らし、実った果実は腐臭を放つ。川や湖の
淡水は茶色く濁り生き残った魚や爬虫類は狂暴化
し、日々共食いを繰り返してもう原型が何だったか
も分からないような姿に変わってしまった物ばか
り。海は、昔と同じ青い輝きを守っていた。しかし
その中にはどんなものが生息しているのかさえ定か
ではなかった。それでも生き残った僅かな人類。け
れど、一度破壊された遺伝子は元に戻ることは難し
かった。極端に数を減らした人類の姿は、殆どが一
見して畸形と分かる外見を持つ者や障害を持ってい
る者ばかり。使用された化学兵器は、その威力を遺
憾なく発揮していた。しかも空気中にも同じ成分が
長い間浮遊し 続け、人間の体は常に汚染を受けてい
た。かつての様な進んだ医療など無いに等しく、
生き残った人々は皆その日を生き抜くだけで精
いっぱいだった。大気汚染のために紫色に染ま
った空に赤い雲が浮かんだ空を見上げる地上に
はそんな人間達が暮らしていた。そして、ほと
んど汚染されなかった地下に住むのは、選ばれ
たように五体満足な体を持った者のみ。いつか
らか障害を持った者だけが地上で暮らすように
なっていた。全ての豊かさはその地下にしかな
かった。人としての当たり前の暮らし。命の危
険を感じることなく、衣・食・住が満たされか
つてあったような文化的な生活。しかしそれす
らもうどんなものだったのかさえ思い出せない
ほどの時間が過ぎ、誰もがあこがれながらも決
して手に入らない楽園を幻のように足元に感じ
ながら、今日も地上では一日を生き抜くための
戦いが繰り広げられていた。
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