ある小話

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まずは短いものから書こう。WAHAHA。私は綺麗な文章なんか書きたくない。見る分には一向に構わないが、いざ自分が、という話になると、途端にイヤァイヤァ、難しいですネェ、なんてニヤニヤニヤニヤヘラヘラヘラヘラ。下品な顔をした私が顔の皮をやぶってにゅっと出てくる。うほ、汚い。手を伸ばしてティッシュを一枚取り、後にならないよう丁寧にそれを拭き取る。ハァアアさっぱりした。もうこれで出てくるまい、と思ったのもつかの間、今度は心臓からスルスルと、私の文体が抜けていく。待て待て待て待て。君が抜けたら、私はもうどんな書き方をすればいいのかワカラナイヨ、せっかく綺麗な文章なんか書きたくないと大口を叩いたんだ、荒々しくて力強い文体よ、逃げないでおくれ。君がいなくなったら、私はまた、どうしようもなく周りの文章に押され倒され踏まれ、自分ってものが分からなくなるんだ、だからお願いだ、やっと見つけた私の個性であるはずのもの、逃げないでおくれおっとっとっと。急に戻ってきたからよろけてしまったよ。まあでもよかった。おかえり。文体は無事に戻ってきた。 って書き出しはどう?気持ち悪い? いやあ、まあ気持ち悪いは大前提としてあるけど、それ以上に意味わかんねえ。 意味わかんねえかあ、まあ確かにわかんねえなあ。 お前がわかんねえのにわかるわけなくね? 確かに。 感想もクソもないわ。 それは困る、意味わかんねえ以外にせめてなんか一つでも。 キモイ。 それは聞いた。それはノーカンでしょ。 、、、水なのか唾液なのかわかんないけど何故か濡れてる他人の手で触られた時みたいな不快感? うわすげえ。すげえ自分の書いた文のキモさ伝わった。あんがと。 どいたま。うわ、あたし後5分で休憩終わりじゃん。お前のわけわかんねえ文章のためにこんな貴重な時間使ったのかよ。 はは、すまんこすまんこ。ゆーてあんた10時まででしょ?うち11時アップだから、待っててよ。そのあとカラオケ行こ。 お、ありだわ。カラオケとか超久々。東方神起歌お。 ちょっぱやでクローズやったるわ。 店内地味に気まずいから外いるわ。 おけ。時間やばいよ。 あーくそ、ほんじゃお先。 うーす。
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