真里菜

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これは、わたしが小学三年生の時の話。 当時、わたしは四人の女子とよく遊んでいた。 A子、B美、C代、そして、真里菜。 A子とは保育園に通っていた時から仲が良く、双子に間違われることもあった。 わたしは彼女を好きだったし、彼女はわたしが大好きだった。 B美も、保育園に通っていた時からの友達だ。 しかし主張が強く、好戦的だったから、よく喧嘩をしていた。 普通に遊ぶようになったのは、この頃からだったかもしれない。 C代は小学校に上がる時、やって来た。 大人しい、と言うか、引っ込み思案な子だ。 その性格が、お嬢様っぽい見た目によく似合っていた。 真里菜は、普通の子供だった。 問題なんて起こさないし、捻くれてもいない。 純粋で、まっすぐで、優しい、普通の子。 わたしたちは、ほとんどの休み時間を、一緒に過ごしていた。 遊びの内容は、もっぱら鬼遊び。 鬼ごっこに始まり、氷鬼や色つき鬼、影鬼に登り鬼。 クラス全員でやるケイドロやぼっけんは嫌がっても、こうしたささやかな遊びには、みんな楽しげに参加してくれていた。 そんなある日のこと。 その日は、朝からしとしとと絶え間なく雨が降っていた。 雨の日は、当然だけど外で遊べない。 校内は走ってはダメだから、いつものような鬼遊びは出来ない。 わたしは、A子とともに、普段遊ばない女子たちと遊ぶことにした。 彼女たちは、いわゆるクラスの中心的グループだ。 可愛くて、男子に人気の女子たち。 その中でもずば抜けて人気の子が、たまたま近所に住んでいて、登下校は勿論、家に帰ってからも毎日のように遊んでいた。 その子に誘われて、わたしはA子を伴い、ハンカチ落としの輪に入った。 そうして、何度目かに鬼が入れ替わった時のことだった。 真里菜が階段から落ちたのは。
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