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その箱の中には、なんと真里菜がいた。
真里菜は、大きな箱の下半分を使って、体育座りの体勢で眠っていた。
わたしは驚いて真里菜に声を掛ける。
何度か呼びかけると、真里菜はふあと欠伸をして、わたしを見上げた。
そして一言、
「よく寝た~!」
目をこすり、ぐっと伸びをして言う。
やっぱりね!!
ほら見たことか! 真里菜は生きてる!
わたしは、心配したんだよ~! と真里菜の手を取り、立たせつつ言った。
真里菜は、ごめんごめんと軽い調子で笑う。
よもや、自分が死んだと思われ、通夜から葬儀までされているとは夢にも思っていないだろう。
わたしたちは、よかったよかった、ごめんごめんと笑いあった。
そこでふと、目が覚める。
真里菜はいない。
夢だったのだ。
死んだのだ。それはもう、けっして覆りはしない。
わたしはきっと、まだどこか真里菜の死を信じていなかったのだ。
真里菜は生きている。葬儀にまで参列しておいて、それでもやっぱり、そう思っていたのだ。
いや、葬儀に参列したからこそ、真里菜の最期の姿を見たからこそ、その死を信じられなかった。
だって、ほんとうに、ほんとうにただ眠っているだけなんだ。
目を閉じているだけ。それだけなのに、なぜ、戻らない。なぜ、目を覚まさない。
本当に死んじゃったんだ……。
頭の中でわたしは、これでもかと抗っているのに、すとんと、真里菜の死が胸に落ちた。
ああ、死んだんだ。真里菜は死んだ。もう、二度と会えない。
言葉を交わすことも、一緒に遊ぶことも出来ない。
死んじゃった。
真里菜が死んじゃった。
死んじゃったよ。
真里菜の死から三日後、ようやくわたしは、真里菜の死を受け入れた。
これが、わたしが一人目の友人を亡くした話である。
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