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「眼鏡も止めてコンタクトにした」
「あぁ、それも分かるよ」
何故か門真はプイッと僕から目を背けた。
――門真の気持ちも分かる。
高校一年最後の日。三月の終了日からすれば、それはほんの短い間だ。その間、門真に遊びに誘われても僕は断り続けた。
「門真。僕、気付いたんだ」
「気付いた?」
「そう。だから……ちょっと来て」
僕は『僕』でいることを止める為にも、門真を誰も居ない場所へと連れて行く。
それを察してか、時々、僕の後ろを歩く門真の口から「チッ」と舌打ちが聞こえた。それだけじゃない。髪型を変え眼鏡を外した僕を周囲が好機の目で見ている。
僕は今までの『僕』でいる方が良かったのか?と髪型を変えたことを後悔して俯いた。
だけど、もう僕は後戻りできない――。
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