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「ごめん。でも、僕……」
「ハァ。……でも良かったァ。他に好きなヤツができたからイメチェンしたとか言われなくて。ずっと好きでいて本当に良かったよ」
「えっ!?」
僕は門真の言っていることが分からずに、少し戸惑った。
「えっ?……って、今まで全然気付かなかったの?俺がキラを好きだって」
「う、うん」
僕が頷くと門真は苦笑いをした。
「……ひっど。告白されても断ってんのになぁ。まぁ、そこもキラの良いところだし。それよりもさぁ。キラ、イメチェンしても急に『私』って、言わないでよ」
「えっ、どうして?」
「突然、髪型変えて綺麗になって、いきなり『私』に戻られたら、こっちはもっと恥ずかしいから」
門真は顔を赤らめて僕から目を背ける。そうして僕の手を引いたまま、昇降口に向かって歩き出した。
桜の花びらがヒラヒラと舞う。その合間を歩く度に、繋いだ手から門真の気持ちが伝わってくる。
ずっと門真は、こんな僕を想ってくれていた。
僕は『僕』で良いんだ……そう思うと地面に落ちた桜の花びらに涙が零れ落ちた。
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