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「いぇーい!今年も私の勝ち!」
街外れの階段で行われたグリコ対決は、三年連続で唯の勝利で終わった。私は息切れしてしゃがみこんだ。
「唯、タフ、だね」
「そりゃ毎日バレー部でしごかれてるもん。あと栞、チョキばっか出すし。…でもさー何が楽しくてバレンタインにこんなこと」
「じょ、女子校、だし」
「部活・部活・たまに栞、部活・部活」
「来年は、できないかも、ね」
唯はバレーの特待生で県外の高校に進学する。私はそのまま付属の高校に進学する。初めて別々の道を歩む。
「…私、なんでチョキばっかり出しちゃうんだろ」
「小さい頃さ、栞チョキがうまくできなかったじゃん。だからジャンケンだ!って思うと力が入ってあのころ猛特訓したチョキ出しちゃうんだよ、たぶん」
そう、唯はいつも私を見てくれていた。私はカバンに隠していたチョコレートを手に取った。友チョコとしてなら、受けとってくれるかな…。
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