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「奏、どう?友達できそう?」
校舎の廊下を歩いているとレンにそう聞かれた。
「別にいい。いらないし。」
小さい頃から私はこうして友達を必要としてこなかった。だからこれからも必要ないのだと思うことにしている。
大体こんな性格じゃ友達なんてできそうにないし。
「奏ったら………またそう言って。」
レンが呆れたように言う。
あれ?
なんかでも………。
どこか嬉しそう………?
苦笑いする彼の笑顔にどこか喜びが混ざっているように思った。
目の奥に安堵というか、うん………喜びのような。
でもまぁ、気のせいか。
「いいの。今のところレンがいるし。」
「今のところなんて言わないでよ、ずっと一緒だったんだし。」
レンが私の頭に手を置く。
彼はこういうセリフが好きらしい。
あ、別に狙ってる訳じゃない。
ただよく的外れな所で喜んだり怒ったりする。
それが私には長い時間一緒にいても分からないことだった。
「……レン。」
「ん?」
「……ううん、なんでもない。」
帰ろ、と繋いだ手を引いた。
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