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次の日、仲田と取引先までの道を歩いていると、ゴツンという音とともに後頭部に激痛が走った。
「うおお」頭を押さえてうずくまる。
「課長、大丈夫ですか?」
「ううう……」
コブが出来ている。
「あ、これですよ、これがぶつかったみたいです」
仲田の手を見ると『9』と書かれたボール。
ビリヤードのボールのようだ。
「どういう事だ!」頭をさすりながら問い詰める。
「さあ?悪戯でしょうか?後ろから飛んで来たみたいです」
くそっ。悪戯なんてもんじゃあないぞ。下手をしたら大怪我だ。
また次の日、取引先のビルの入り口で仲田が出て来るのを待っていると
鉢植えが頭上から目の前に落ちて来た。
もう一歩前に立っていたら頭に直撃していた。
激しく砕け散った鉢植えを見てゾッとする。
一体どこからと見上げると、ビルの屋上からすっと人影が隠れるのが見えた。
「すみません、お待たせしました。どうも朝からお腹が。あれ?何ですかコレ?」
間抜けな声を出す仲田を腹いせに怒鳴りつけ、その場から逃げるように立ち去った。
月曜日、足を庇いながら歩く福田を見て、仲田は声を掛ける。
「課長、どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたもないよ。金曜に鉢植えが落ちて来たろ?土曜は七輪、日曜は六法全書、さっきは碁盤が飛んできやがって。上手く避けたと思ったんだが、撥ねて足に当たっちまった。毎日毎日何だってんだ。くそっ!」
「それで木曜がナインボール……。では、5まで進んだという事ですね」
「ああ?何が5なんだ?」
「だって今までの物の関連性を考えれば、鉢植えは8で碁盤は5ですよね?カウントダウンしてますよ」
「ふざけた事を。じゃあ何か?誰かがわざと俺を狙ってるってか?で、ゼロになったら何か起こるって?冗談じゃないよ。俺は誰かに恨まれるような覚えはない」
仲田は苦笑いをするしかなかった。
その翌日、定時での帰り道、福田が駅までの歩道を歩いていると
前の方に大きな四角い板を抱えた人が見える。
ヒョイと板が持ち上がると、筋肉質の大きな身体が現れ、見覚えのある顔がニヤリと笑った。
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