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福岡県の、ある田舎町。
辺り一面、田畑しか見えない景色の中に、一軒家がポツンポツンと並び立つ。
中でもキャベツ畑の隣にある小さな二階建ての一軒家は、今にも崩れ落ちそうだ。
「ただいまー」
私が家のなかに入ると、台所で料理をしている、いつもの母の姿があった。
「あら、おかえりなさい。乃愛」
高校生になって新しいカバンを買えなかったから、中学生のときから使っている、ボロボロのスクールカバンを床に置く。
「水やりしてくるね!」
と言って、私は家の外に出た。
家の前のキャベツ畑には、収穫間近のキャベツが並んでいる。
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