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ふたりはお茶碗から顔を上げ、私を振り向いた。
「おまいさん…。乃愛にはまだ言ってないのかい?」
とおばあちゃんは、深刻な表情で、お母さんを見る。
「だって、出荷作業に忙しくって。近いうちに話そうと思っていたのだけど」
と、ご飯を食べながら答えるお母さん。
「もう一ヶ月後だぞぃ」
「そうね。そろそろ乃愛にも、きちんと話そうかしら」
(え、何だろう?)
母は、コホンとわざとらしく咳払いをしてから瞼を閉じ
「え~。実はね、お母さん。来月、再婚することになりました。
夫を亡くして十年目の春。あたしにも、二度目の春が来ました!」
イェーイ!と、お母さんとおばあちゃんは手を合わせた。
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