242人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
私は窓ガラスに頭をぶつけてしまう。
咲夜さんが急に車線変更したから、車は左右に大きく揺れたのだ。
「ちょ、なんなんですか!?」
「良いから、頭を伏せておけ!」
「え、えぇ?!」
おでこを撫でながら、私が半ば怒りの感情の混ざった声で言ったのにも、早口で返された。
スピードは上がり続け、多くの車で混み合っているなかを、車と車の間を次々と追い抜いてゆく。
そして車は、右折するところで大きくUターンして、右折どころか、対抗車線へ乗り換えた。
いま走ってきた道を、戻りはじめたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!