242人が本棚に入れています
本棚に追加
ほんの十分間の出来事だったのに、私には、数時間を過ごしたかのように感じた。
そしてホテルが視界に見えるところまで到着したとき、咲夜さんは、ため息を吐いた。
「ったく。初日からこれかよ」
「あの――。さ、咲夜さん。さっきの車は」
「あぁ、尾行されてんだよ。さっそくな」
助手席から咲夜さんのほうを見上げ、恐る恐る聞いた私に、咲夜さんが前方を向いたまま、答えた。
「尾行!?」
私の背筋が凍りつく。
咲夜さんは携帯電話をポケットから取り出し、耳にあてた。
最初のコメントを投稿しよう!