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それからしばらくして、先輩から連絡が入った。血縁者らしい家を見付けたというのだ。
「まだ詳しい調査はこれからなんだがな、かなり有力な情報なんだ」
「ホントですか!?」
俺はスマホに食い付かんばかりの勢いで聞き返した。
「ああ。また詳しい事が分かったら連絡する」
「はい。お願いします!」
俺は電話の向こうに何度もお辞儀をしながら、ゆっくりと通話を切った。
興奮気味の俺はすぐに彼女の病室を訪れたのだが、「今日は体調が優れないようだ」と看護師に告げられ、仕方なくとんぼ返りとなった。
次の日、改めて病室を訪れると、彼女はベッドに横になりながらボンヤリとしていた。
「調子、どう?」
「うん。昨日よりは良いよ」
「そうか、なら良かった」
とは、言ったものの、俺は少し不安にかられていた。以前会った時より、確実に痩せていたからだ。
それでも、俺は不安な気持ちを晴らそうと明るい調子で話しかけた。
「昨日、先輩から連絡があってね。君の血縁者らしい人が見付かったって」
「え……?」
彼女がハッとしたように俺を見た。
「詳しい調査はまだらしいけど、何か分かったらすぐに報せてくれるって」
「そう、まだこれからなのね」
彼女は少し残念そうに言った。
「大丈夫だよ。かなり有力な情報らしいから。とりあえず、連絡を待とう」
「うん」
彼女は小さく頷いた。
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