其の1.始まりは、ここから

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   暫くして、制止した俺の手を自分の口から離し、高田は言った。 「麻生ったら……照れ屋なんだから!」 しかも、言いながらグーでお腹の辺りをボスッと殴った。 高田、お前……何か間違ってるぞ……ぉ……ぉぉ……。 グッと痛みが来たお腹を押さえて、ちょっとしゃがみ込めば、頭上からは……。 「じゃあ、麻生。放課後、一緒に帰ろうな!」 と、元気がよろしい、高田の声が、聞こえた。 そして彼は、スキップをしそうな位な軽やかなステップで、屋上を後にする。 しかし、残された俺は……。 嘘だろーー!!! と、叫ばずには、いられなかった。
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