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寮への帰り道、どんよりと暗くなっている刹那がいた。
唯と何かがあったことはすぐわかったけれど、雰囲気が触れてほしくないと語っている。
「蝶哉。あいつ大丈夫かな。何も言ってくれないけど何か聞いてる?」
「いや。聞いてないな。あとで唯から電話くるかもしれないけど。」
寮の近くで俺たちは降ろしてもらい、3人で歩いていく。
寮の入り口で同じように帰省から戻ったらしい刹那の同室のやつがいた。
「あれ?お前も今帰り?実家行ってたの?」
「まぁそうだね。って俺の名前呼んでくれてないけど覚えてる?」
雄二が名前を呼ばないから覚えられていないと思ったらしい。
「樋渡だろ?刹那と同じクラスだよな?」
「知ってたんだね。意外だ。」
名前を言った雄二に空は笑っていた。
その笑顔がどこか悲しげなことに刹那はもちろん雄二も気づいていないようだった。
何かあったな・・・。
けれど自分から弱みを見せないタイプなのか、何かを言う感じではなく、刹那の落ち込んでいる姿を見て、気遣いをはじめた。
嫌な予感がずっとしている。
廉が何かを知っているだろうか。
俺は落ち込む刹那を空に預けて、後で様子を見に来るよと言って雄二と部屋に戻った。
部屋に入った後すぐに俺は携帯を取り出した。
「蝶哉?どうした?」
「ちょっと黙って、電話するから。あとで説明する。」
そう言って俺は廉に電話をかけた。
裏世界のトップ情報屋なら何か知っているかもしれない。
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