第8章

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数回コールが鳴った後、廉が電話に出た。 「どうかしましたか?」 「気になることがあってな。うちの学校関係でトラブルに巻き込まれたとかの情報ないか?何かに関わっているとかでもいい。本人じゃなく家族とかでも。」 うーん。と電話の向こうで悩んでいる声がする。 「人数多いので少し時間もらえませんか?照合して当てはまった者を連絡します。メールでいいですか?」 「ああ。ありがと。頼んだぞ。なるべく早めにな。お取り込み中悪かったな。」 電話の向こうで慌てる廉の声が聞こえたけれど、またあとでと電話を切る。 黙ったまま待っていた雄二の口が開いた。 「うちの学校で何かありそうなのか?」 「やっぱり雄二は気づかなかったのか。」 何が?という顔で見つめられる。 確かにあの状態なら普通は気づかなくてもおかしくないだろう。 ただ、雄二は廉に弟子入りしようとしている。 それは些細なことでも見逃してはいけないということだ。 情報屋にとっては日常生活のひとつでさえ、表情のひとつでさえ、何かを知る糸口となる。 まだ知らなくても責められはしないけどな・・・。 「樋渡 空。彼は何かに悩んでるね。人に言えないようなことなのか、元が言えないタイプなのか。その悩みが本人のものか、それとも身近な誰かなのか。ただ悩んでるだけならいいけれど、何かに巻き込まれている可能性も否定できない。」 「へ?樋渡?そんな風には思えなかったけど。蝶哉がそう見えたならそうなのか。すげーな。俺全くわからなかった。」 「俺のは癖だ。あれは隠すのが上手いと思うよ。簡単にはわからないかもしれない。自分で手に負えなくなれば、隠せなくなって気づくやつが出てくるとは思うけど。」
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