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見られた。
一番見られたくない人に。
こんなに最悪なことはない。
なんて言えばいい?
待ってると言っていた。
話があると言われた。
あの人にだけは嫌われたくない。
空への思いとあの人への思いがぶつかり合う。
・・・・・・・・・・蝶哉さん。
俺は思いを寄せる人を思い浮かべながら、空の中に自分が吐き出したものを掻き出した。
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空雅の様子が変だ。
涙目でぼやけてよく見えなかったけれど、突然来た誰かに言われてからだ。
行為を見られたことは恥ずかしかったけれど、あの人たちは空雅より上の立場らしい。
会話でそれはわかった。
もしかしたらこの状態から抜け出せるかもしれない。
助けてくれるだろうか。
処理を終えて、身体を拭いてくれた空雅が言った。
「先向こういくから、服着たらこっちきて。俺飲み物出してくる。」
青ざめた顔で言い終えると、空雅は寝室から出て行った。
きっと向こうに行けば空雅のあの様子の答えがわかるはずだ。
俺は服を着るとリビングへと足を踏み出した。
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