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俺の方を見た空雅と目が合った。
すると空雅の顔が赤くなり目を逸らされる。
え?
いや、まさかな・・・。
この状況と合わせるとありえないと思いたくなる答えだ。
隣で雄二がそっと耳打ちしてきた。
“空の相手、お前のこと好きみたいだぞ。”
消してしまおうと思った答えを雄二に言われてしまう。
けれど、もしそうだとしたらこの状況はどういうことなのか。
空雅を好きになった空が抱いてくれと頼んだのだろうか。
目の前の2人を観察する限りそういうわけではなさそうだ。
空雅の様子に気づいたのは廉と龍だけでなく空もだった。
空の表情が暗くなるのがわかる。
廉が質問を続けた。
「付き合ってないということはセフレ?お互いに同意の上でこうなってると思っていい?」
「違います。俺は脅されて無理やり・・・。」
空が泣き出しながら話した。
脅す?無理やり?
「樋渡。詳しく話せるか?そこの空雅のことは気にしなくていい。」
「俺、夏休みに入ってから忘れ物を届けるために父さんの職場に行ったんです。それまで一度も行ったことなかったから、仕事をする父さんを見られると思って楽しみにしてました。思ったのと違う職場ではあったけれど、父さんの仕事姿を見れたからいいやと思って帰ろうとしたときに、この人に声をかけられたんです。父さんより立場が上なことを利用して、俺が言うことを聞かないと父さんがどうなるかわからないと言われて・・・。俺は逆らうことなんて出来ませんでした。それからは無理やり抱かれるようになって。今の関係です。」
空が話したことにより、空雅は青白い顔で震えていた。
震えるくらいなら最初からこんなことをしなければいいのにと思う。
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