第8章

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自分で気づかないこともある。 少しの間、空雅が落ち着くまで、俺はそっと抱きしめてあげていた。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 蝶哉さんが戻ってきて話を聞いてくれた。 そっと抱きしめてくれた。 嫌わないでいてくれると言ってくれただけで嬉しさが込み上げる。 それでも言われた言葉に、俺自身、耳を疑った。 「お前の俺への思いは薄れてきているだろう?」 そう言われた。 ああ・・・そうか。 いつの間にか俺は空を愛し始めていたらしい。 それでもはっきりと蝶哉さんへの思いが、ただの憧れへと変わるまでは、少し時間がかかりそうだ。 蝶哉さんは連絡先を置いていくと言った。 俺自身の気持ちの整理がついたら、空への思いを伝えてもいいと思えたら蝶哉さんにお願いしよう。 あんなに遠いと感じていた人が今、俺を抱きしめてくれている。 もうそれだけでいい。 俺はこれからも生きていける。 ただ、今は少しだけ休ませてほしいだけ。 「蝶哉さん。俺、少しだけでいいので、ひとりでいたいです。いろいろ考えたいことがあります。悦さんにしばらく休んでもいいように口添えをお願いしたいのですが。」 「いいよ。言っておく。お前はもう大丈夫だな。ゆっくり休めよ。俺はもう行くよ。またな。」 「ありがとうございました。」 俺は蝶哉さんから離れ、頭を下げ、お礼を言った。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
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