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もう大丈夫。
俺から離れて頭を下げてお礼を言ってきた空雅を見て思う。
どこかスッキリした顔をして、さっきまでの青褪めた顔はなくなっていた。
こいつはこれで大丈夫だろう。
あとは樋渡 空。
あっちは自覚しているかわからないが、空雅を好きなのは間違いない。
おそらく本人は自覚のないまま、失恋という方へ向かっていそうだ。
空雅より空のが面倒かもしれない。
小さく息を吐いて雄二の元へと行く。
「お待たせ。行こうか。」
「もう大丈夫なのか?」
そういう雄二は目を合わせない。
ヤキモチか?
俺は目を逸らしたままの雄二の顔を両手で挟むようにしてこっちを向かせ唇を重ねた。
あまりやりすぎると我慢ができなくなるから控えめにしておく。
唇を離すと、雄二が照れた顔で見てきた。
「機嫌直ったか?」
「ごめん。」
「いいよ。行こう。みんな待ってるから。」
そうして俺と雄二は3人の待つ、龍と廉の住むマンションへと向かった。
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