第9章

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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 全身の痛みの中に目が覚めた。 見覚えのある空間に狼狽える気持ちがあるものの、身体中の痛みから動けない。 ここは空雅の部屋。 そしてこのベッドは・・・。 顔に熱が集まるのを感じた直後、下半身にも熱が集まっていることに気付く。 そして、何度も快感を与え続けられた身体は、その刺激を求めて疼きだす。 どうしよう。 動けないし、したくなったし、きっとどこかに空雅もいるだろうから、気づかれるわけにいかないし。 もうこの際また久遠の身代わりでいいから抱いてもらおうかと内心思った。 そこまで考えてハッとした。 俺の着ている服が違う。 全部脱がされて着替えさせられた? いや、でも、もう既に全部見られてるわけだし。 今更なんだけど・・・。 でも恥ずかしい。 身体の痛みを堪えながら、やっとの思いで顔に両手を持ってきた。 俺、こんなにも空雅を好きになってたなんて。 余計なことを言い出す前に帰ったほうがいいんだけど。 全身痛いせいで動けないっていうのはどうなんだよ。 俺ってバカだ。 あれこれ思い悩んでいたらドアが開いた。 「空?起きたの?無理に動いたらダメだよ。」 「空雅・・・。無事でよかった。」 なぜか俺は空雅の顔を見たら視界が歪んできていて。 あー、俺は泣いているのかと思った。 涙の理由なんていろいろと入り混じって、どうしてなんて聞かれたとこで一言でいえるわけもなくて。 何も聞かないでほしいと思ってしまう。 「空。どうして泣いてるの?何か辛いことあった?って俺が聞くのもなんだけど。嫌いな俺の顔見たくなかった?ごめんね。他に連れて行けるところなくて。傷が治ってきたら帰っていいから。それまでは看病くらいさせて。空が嫌がること何もしないから。」 違うんだよ、と言いたいのに。 涙は次から次へと目から溢れてきて止まらない。 嬉しいのと、悲しいのと、辛いのと、もうよくわかんない。
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