第9章

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少し言い辛そうに空雅は口を開いた。 「空が来てくれたあの場所にいた不良たちは俺に従ってくれてたやつらなんだ。」 「は?」 どういうことだそれ。 「蝶哉さんが俺と空を引き合わせようとしてくれた結果なんだよ。あの人を怒らないでね。あれは全て計算されたことなんだ。空があの状況じゃないと来ないとわかっていたんだと思う。」 「あー。確かにそうかもな。俺、廃墟に向かいながら自分の気持ちに自覚したから。そう考えると感謝なんだろうけど。怪我の原因が久遠か。いや、お前もグルか。」 というか空雅が久遠を庇うことがイラつく。 俺を好きって言っておきながらやっぱりまだ久遠も好きなんじゃん。 「空?今何か変なこと考えてない?俺が恋愛感情で好きなのは空だよ。蝶哉さんは尊敬や憧れだよ。」 「そういえば、久遠はいつも学年で5位前後にいたな。」 俺は今までのテストのことを思い浮かべる。 張り出される順位の上位に、いつも久遠の名前があった。 同室の川霧が久遠と同室の牧野と仲がいいから自然と目に入っていた。 「え!?5位?そんなはずないけどな。それが本当なら手抜きしてるね。」 「は?手抜き?なんで?」 「学校であまり目立ちたくないとか?あの人本気でやったら問題全て解くはずだよ。」 今ものすごいこと聞いた気がする。 久遠って時々休んでたりするよな。 それでいて、テストになったら問題全部解く? でも、空雅の話だと目立ちたくないから手抜きして解かない問題があるってことだ。 そういえば俺、久遠をあまりよく知らないな。 今度話してみようと思う。 というか怪我のお詫びに勉強教えてもらおう。 うん。それがいい。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
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