第10章

3/25
前へ
/274ページ
次へ
質問が続いた。 「久遠君。君は今恋人はいるかい?」 「はい。います。」 うんうん。と頷く香坂。 この学校の生徒会のシステムがわからない以上、本気でもないこの人がなぜこの質問をするのかがわからないままだ。 調べておくべきだったと後悔する。 まさか生徒会に呼ばれるとは思ってもいなかった。 それも1年の半分も過ぎないうちに。 「俺とセフレになってみない?」 香坂はそう言って俺のほうに近づき押し倒そうとしてきたが、無意識に防御の態勢を取ってしまい、反射的に俺が押さえる形になってしまった。 「香坂さんは本気ではないですよね。なぜその問いがあるのですか?答えろというのなら答えますが。」 俺は押さえる手を離して香坂に聞いた。 「さすがだね。動きにも問題ない。洞察力もある。合格だ。」 どこからか別の声がした。 聞き覚えがある。 これは生徒会長だ。 今までの行動で見きわめるのはいいけれど、なぜそれが必要なのかがわからない。 「変なこと言ってごめんね。君が言ったように本気じゃないから気にしないでくれると助かる。」 香坂が謝ってきたから怒る理由もないために許した。 俺は代わりに疑問に思うことを聞いた。 「動きや洞察力が生徒会にどんな関わりがあるのですか?」 「あーそれね。この学校の生徒会は他と違う部分があるんだよ。」
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!

228人が本棚に入れています
本棚に追加