第10章

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今質問に答える必要はない。 とりあえず今日は勉強をするはずなのに終わるはずのところさえ終わっていない。 「答えてほしかったら出した問題くらい解けてからにしろよ。」 雄二は無言だ。 帰ったらいいたいこと言わせてやろう。 「ひとつくらい教えてよ。雄二でもいいから。」 「蝶哉が言わないなら俺からは何も言えない。黙って従わないとスパルタ始まるぞ。」 雄二の後半の言葉で空と刹那が黙って動き出す。 俺は苦笑いするしかなかった。 「彼は貴方のことよくわかってらっしゃいますね。」 「まぁ1学期のテストをスパルタで教え込んで赤点逃れたからな。身に染みてるんじゃないか?」 夕方までになんとか少しは進んだ。 俺と雄二と刹那は泊まるわけにはいかないために寮に戻りまた明日来ると言ってマンションを出た。 いろいろ聞きたそうな空を置いてとりあえず帰路につく。 「そういえば俺全部聞いてなかった。2人は毎日やりまくり?」 俺は雄二に任せるよと言ってひとりで歩き出す。 2人は俺らが出会う前からの友人だ。 話したいのなら話せばいい。 俺は後ろからの2人の会話を聞きながら寮まで歩いていく。 高校3年間は普通の学生として通えたらいいのにと思う。 「どうなんだよ。俺なんて拒否られてばっかりだよ。どうしたら唯君は答えてくれるんだ。」 「そりゃお前。1度顔合わせた程度の相手に次に会ってすぐキスしてればな・・・。」 俺の場合はそこまですぐではなかった。 ある程度話すようになってからのことだ。 当時を思い出しす。 あの頃はまだ雄二をここまで好きになってなかった。 ただ、守ってあげたいと思う存在ではあったけど。
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