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突然雰囲気の変わった俺に川霧は驚いたのか、俺を見て口を開けたまま呆けている。
俺は携帯を出し廉に電話をかけると、暫くして学校から少し離れた場所に、廉の運転する車が止まる。
「蝶哉さん。そちらは?」
「川霧だよ。牧野の友人。一緒に助けに行きたいんだと。」
「へぇ。役に立つとは思えませんがね。」
すでに川霧のことも知ってるだろう廉は初めて知ったような様子で接している。
とりあえず時間もないことから車に乗り込む。
話はそれからだった。
「足手まといにはなりません。」
「ガキの喧嘩じゃないんだよ。殺るか殺られるかの世界だ。子供が首突っ込むからこうなるんだ。」
廉の言うことも正しい。
俺も同感だ。
それから廉は調べた情報の全てを俺に話した。
そして必要なだけの人を集めてもいた。
指示を出すのは俺であり、中心に立って動くのは俺と廉だ。
正直、川霧は邪魔になる。
俺と廉のやりとりに川霧は終始黙って見聞きしていた。
自分には踏み込めないと思ったのかもしれない。
それでもついて来たのは友人である牧野を助けたいという思いと、自分のせいで牧野を危険に晒してしまったという負い目を感じているからだろう。
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