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「助けたのは俺じゃあない。蝶哉さんと廉さんだ。」
「…え…?」
俺が助けたことにも疑問が沸き、瀬古谷組の組長が俺をさん付けで呼ぶのも疑問だったのだろう。
牧野は首を傾げたまま、瞬きしながら俺と悦さんを交互に見ている。
「悦さん。牧野が疑問だらけって顔してるよ。俺がここにいるのからして疑問なんだろうね。」
「蝶哉さんは説明なさってないのですか?てっきり俺はわかってるものだと。」
「悦さんのせいじゃないよ。説明はしてないからね。」
川霧は既にこのやりとりを聞いているせいか最初より驚きは見えないが、牧野は更に疑問が出てきたのだろう。
見るからに状況についていけてませんの顔をしていた。
「俺はこっちに来て、知り合い以外に深く関わるつもりなかったんだよ。まさか自ら足突っ込むやつが身近にいるとは思わなかったけどね。」
「蝶哉さんは困った人を放っておけないですからねぇ。」
確かにと廉が頷いている。
勝手に言ってくれちゃって。
聞かれれば答えようとは思った。
彼らにそれだけの覚悟があるのなら。
「牧野。川霧。2人は俺に聞きたいことがあるんだろう?けれど、話す内容によっては覚悟が必要になる。どうする?」
2人は迷わず聞くと言い出した。
少しでも足を踏み入れてしまってはきっとこの先も狙われる可能性がないとはいえない。
族も解散はしたものの、新たに結成されているようだった。
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