第3章

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外に出て、牧野たちのいる中庭に近づいていく。 話し声が少しずつはっきりと聞こえてきた。 どうやら予想通りの展開になりそうだった。 上級生から気に入らないと2人は呼び出されていた。 それにしても10人くらいいるだろうか。 2人にそれだけの人数必要なのか。 それともそれだけいないと威張れないのか。 少し離れたところからしばらく見ていることにした。 向こうでも気づいた人がいるとは思うけれど。 この後どうなるのか楽しみになってきた。 その反面今居る場所が気になった。 実践経験とも思ったけれど、この喧嘩がばれるとどうなるんだろう。 何気に注目されていたりするんだけど。 「注目されて人気者だね。」 とりあえず言ってみる。 喧嘩するにも場所を変えたほうがいい。 なぜにこんな目立つとこにいるんだろうか。 上級生がこっちを見た。 そして周りを見渡している。 チッと舌打ちが聞こえるとそのまま去っていった。 終わりかよ。 場所変えて殴りあいとかないのか。 身体を動かせる機会はあっけなく消え去った。 「2人は目立つんだね。さて、帰ろう。」 何も言えない2人が俺の後ろからついてきた。 「久遠。ごめん。ありがと。」 「ん?何が?」 後ろから言われたけれど、俺は後ろを振り向かずに答えた。 何にごめんで、何がありがとなのかさっぱりだ。
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