第3章

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テスト最終日、川霧と2人で帰っていた牧野に1台のバイクが近づいた。 見覚えのある顔。 彼は牧野と川霧が以前所属していた族のリーダー、染谷だった。 「よお!久しぶりだな。元気か?」 「「はい・・・。」」 なぜ今頃また接触してきたのか。 自分たちは連れ戻されるのだろうかと不安が過ぎる。 「今から少し時間とれないか?」 「「はい。大丈夫です。」」 反論出来ない感覚が身体に染み付いていて肯定の返事しか出来ない。 立ち向かうことさえ出来ない自分の弱さに腹が立つ。 肯定以外の言葉が出てこない自分が嫌になる。 久遠の顔が浮かんだ。 あいつなら…いや、頼ってばかりじゃダメだ。 話を聞くだけと自分に言い聞かせ、牧野と川霧は染谷についていった。 人気のない場所に行った染谷は2人に向き直り話を切り出す。 「今俺はここから少し離れた場所で新しく族を作った。お前らも来ないか?今俺らのバックにいる人はすごい所にいる人なんだ。今までとは違う。今度会わせるから。他にも誘いたいやついたら一緒に連れてきてくれ。」 「は…はい。」 川霧が返事をしてしまった。 必然的に俺も行くことが決定したようなものだ。 この男に反論出来ることが難しいのも事実だった。 俺は正直族から離れたかった。 この日牧野の悩みがひとつ増えた。 しかし、この出来事は川霧によって久遠に伝わった。
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