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俺は地元に帰ってきた。
見慣れた風景。
着いたのはひとつの大きめな建物の前。
新しいわけでもなく、古くもない。
庭が広いため、バイクが何台も置いてあり、車が1台止まっていた。
その横に廉が車を止める。
「間違いなさそうですね。」
俺にだけ聞こえる程度の声で廉がつぶやいた。
バイクから降りた染谷がこっちに来る。
「もうそろっているから行くぞ。」
そう言った染谷が建物に入り、俺たちは染谷について建物内へと入った。
隣を歩く廉がそっと耳打ちしてくる。
“この後が見ものですね。”
どうなるかは予想がつくが、俺は軽く頷くだけで何も言わない。
中はいくつか部屋があり、ここに住んでる人もいるようだった。
龍が用意した場所か?
あいつらが用意できるはずはないだろう。
俺はこの場所を今始めて知った。
悪くはない場所なのは確かだ。
一番奥の大きな部屋へ通される。
そこに一人の大人の男が座っていた。
頬に傷があり、見た目で言えば優しさなんて欠片も見当たらない。
その迫力ある雰囲気に牧野と川霧が息を呑んだのを感じた。
染谷が男に声をかけた。
「水沼さん。連れてきました。」
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