第3章

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豪華な食事が目の前のテーブルいっぱいに並んでいる。 親父の一言でこの場にいる全員が食べ始めた。 俺にとっては小さい頃から何度も来ている慣れた味だ。 “うまい”“初めて食べた”“すげー” 牧野、川霧、染谷の3人はこの場の状況を忘れ、はしゃいでいた。 「蝶哉。お前の友達を紹介してくれ。」 親父に言われ、俺は箸を止め、2人を呼んだ。 俺のとこまで来た牧野と川霧が挨拶をする。 「初めまして、牧野 雄二といいます。」 「初めまして、川霧 刹那です。」 俺が牧野は寮で同室なんだと付け足す。 親父がじっと2人を見て、染谷のほうを向いた。 「あっちは蝶哉の友達ではないのか?」 「あそこにいるのは龍が連れてきたんだよ。」 それを聞いた親父が龍を呼び、染谷を紹介させた。 次に何も知らない3人へ親父が自己紹介をしようと自ら名乗る。 「3人は今日が始めてだから俺のことは知らないだろうな。俺は久遠組、組長。久遠 道明。蝶哉の父親でもある。よろしくな。」 牧野、川霧、染谷が呆気にとられ、固まったまま動かない。 聞かれなかったから俺は答えなかっただけだ。 しばらく3人はその場で口を開けたまま固まっていた。 こうしてあっさりと俺の素性は父親によってばらされたのだ。
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