226人が本棚に入れています
本棚に追加
寮の部屋に来るなり、川霧が俺に頭を下げてお願いがあると言ってきた。
いったい何事かと思って川霧に聞く。
「とりあえず頭をあげて。何があった?」
「唯君に会わせてほしい。」
唯?実家に行った時に少し会って話した程度だとは思うけど。
それほど親しくはなってないと思った。
「理由を聞いていいか?」
「えっと・・・。」
川霧の顔が赤くなるのを見て、俺は察した。
直球で聞いていいかな。
むしろはっきりさせよう。
「唯に一目惚れでもした?」
川霧の顔が更に真っ赤になっていった。
へぇ。面白いなぁ。
川霧は唯に一目惚れか。
まぁ、あいつは可愛い系だからどっちかといえば男受けするほうかもしれない。
牧野が一目惚れしなかった理由はもしかしたらあの時すでに俺に気があったのか?
ただの予想だからあとで聞いてみよう。
「川霧は唯に会ってどうしたいんだ?」
「いずれは付き合いたい。けれど唯君は俺のこと覚えててくれてるかもわからない。だからまずは会って仲良くなりたい。」
なるほどね。来月には夏休みか。
それならば夏休みを使うのがいいだろう。
「夏休みまで待てるか?待てるなら龍にでも連れてきてもらおう。」
「待つ。夏休みまで待つから。ありがとう。」
最初のコメントを投稿しよう!