第5章

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夏休みを数日後に控えたある日、雄二は職員室に呼び出されていた。 何かやらかしたのだろうか。 教室に戻ってきた雄二がどこか元気がないように思えた。 周りには気づかせないようにはしているようだけど、俺にはわかる。 帰ったら聞きだすか。 放課後、俺は担任に呼び止められ、少し話があると言われ生徒指導室へ通された。 「久遠に何か問題があるからここにきたわけではなくてだな、久遠は牧野と寮で同室だったよな?」 「そうですね。牧野に何かあったんですか?」 担任の顔が少し暗くなった。 牧野の様子からして何かあったのは間違いないだろう。 「同室だからこそ気づくこともあったり、支えになれることもあるかと思って。牧野のことを話しておきたいんだが、いいか?」 「わかりました。聞きます。」 優等生をしていると不良よりは情報が入ってくる。 教師の信頼を得られるから。 俺にとっては家のことも隠せて、何かあってもごまかせていいこと尽くしだ。 「実は、牧野の家で何があったのかわからないが、学費を含めて月々の支払いがされていないんだ。このままでは牧野は退学を余儀なくされる。親と話すようには言ったんだが、仲が悪いのかごまかされてな。なんとか通えているのにこのまま辞めるのももったいないと思ったんだ。」 「そうですか。牧野と話してみます。俺に出来ることがあるかもしれませんから。」 「悪いな。こんなこと頼んでしまって。」 申し訳なさそうな顔をする担任を宥め、俺は寮の自分の部屋へと帰ることにした。 雄二は帰っているだろうか。
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