226人が本棚に入れています
本棚に追加
自室のドアを開けて中に入ると雄二が抱きついてきた。
背中をなでてあげると少しずつ落ち着いてきたようだった。
「雄二。お前の抱えてること全部話してみな。」
「蝶哉・・・。」
雄二には、隠し切れないことも、蝶哉に頼らないとどうにもならないこともわかっていた。
惨めな自分を曝け出すことに戸惑いもあった雄二だったけれど、少しずつ話だした。
「俺、学校辞めなきゃならないかもしれない。」
「うん。それで、お前はどうしたい?」
「辞めたくない。蝶哉と離れるのは嫌だ。俺はここにいたい。」
はっきりと雄二の意思は伝わってきた。
なぜ雄二の両親は支払いが出来なくなったのか、それを知る必要もあった。
「雄二。親には連絡したのか?」
「・・・したよ。」
「なんて?」
雄二は俯いて、少し沈黙した。
言い辛いことがあるのだろう。
俺は雄二の言葉を待った。
「親父がさ・・・借金してたらしいんだ。・・・どんどん膨らんでいってたらしくて・・・取立ても酷いらしくて。金額も、もう簡単に返せる額じゃないらしい・・・。」
「お前の兄たちも学校辞めるって?」
「わからない。」
・・・は?
高校行ってる末っ子に学校辞めろと言って大学の兄は辞めないとかありえないだろ。
最初のコメントを投稿しよう!