第6章

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出発日当日、2台の車で合計8人で行くことになった。 車を走らせて1時間半の場所に黄是組がある。 その近くに金融会社を作っていた。 実際見てみないことには正確な状況がわからない。 雄二の地元に近づくにつれて、雄二から緊張が伝わってきた。 俺は少しでも安心できればと思い、雄二の手を握ると握り返される。 金融会社に雄二の家族が全員集まっていることを聞いてそっちに向かった。 親父が先に進み、俺と雄二は後に続く。 ドアに近付けば、中から怒鳴り声が響いていた。 ドアを開けると中は静まり、雄二の家族以外の黄是組の組員は俺たちに向かって挨拶をした。 「突然悪いな。ちょいとそこにいるやつに話があってな。」 そう言って親父は雄二の家族へと話を切り出した。 「牧野雄二はお前さんらの子供だよな?」 「そんな人うちの家族にいません。」 母親らしき人物が発した言葉に雄二が俯いた。 「なるほど。なら彼はこの件に無関係ってことだ。なぁ。黄是。こいつは蝶哉の友人だ。俺も気に入っている。うちで預かることになった。そいつらは好きにしていい。それでいいか?」 「俺らもまだ息子がいるとは知らなかったから、かまいませんよ。こいつらから金が取れりゃそれでいいですから。」
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