第6章

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親父と黄是組の間では話がまとまったらしいが、雄二の家族は無関係という言葉に反応した。 「そうだ。雄二。お前が身体を売れば少しは金になるじゃないか。」 今こいつなんて言った? 雄二が俺の後ろで震えているのは、繋いだ手から伝わってくる。 雄二に少しでも俺が傍にいることをわかってもらおうと手を強く握った。 けれど、雄二の家族から飛んでくる言葉は、終わらなかったのだ。 「俺はまだ学校が終わってないんだ。雄二。お前が働け。出来損ないだから問題ないだろ。」 「そうだな。内臓もひとつ残らず売れば金になるはずだ。俺たちが生きるために少しは役に立ってもらわないと。」 「そもそも雄二が家を出て離れたところで寮に入りながら学校に行くなんて言わなければこんなことにならなかったかもしれない。」 俺の中で沸々と怒りがこみ上げてくる。 兄貴が俺の肩を叩いて落ち着けと小声で言ってきたけれど、それは無理なことだった。 こんなのが雄二の家族?お前ら親だろ?兄だろ? 以前少しは聞いた話よりかなり酷い状況に悲しさと、怒りが入り混じっていく。
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