第6章

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帰りの車の中、雄二は俺に抱きついたまま離れなかった。 肩が震えているから泣いているのだろう。 顔を埋めている肩のあたりが濡れていくのを感じる。 俺はただ雄二を抱きしめることしかできなかった。 あれが黄是組の居ないところだったら、俺たちがいなかったら、雄二の家族はもっと酷いことを言ってきたのかと思うと悲しくなる。 雄二は自分を守るために必死に逃げてきたのだろう。 強くなろうと足掻いていたのかもしれない。 実家に着いた車から降りて部屋までの間だけ雄二は俺から離れた。 部屋に入り、俺を抱きしめながら雄二は少しずつ言葉を紡いだ。 「俺は・・・あの人・・・たちには、必要・・・なかった・・・んだね。」 ただ、今は聞くしか、傍で抱きしめてあげることしか俺には出来ない。 「俺・・・最初から・・・いらなかった・・・のかな。」 そんな悲しいこと言うなよ。 俺は消えてしまいそうな雄二を、ぎゅっと抱きしめる。 「雄二。俺が一生傍にいてやる。俺にはお前が必要なんだ。」 返事の代わりに俺を抱きしめる雄二の腕の力が強まった。 俺の言葉で、俺の思いを雄二に伝える。 「お前は俺のルームメイトで、家族で、親友で、恋人で相棒だ。今もこれからもずっと俺とお前は2人でひとつなんだ。俺はお前なしじゃもう生きていけない。だから俺をひとりにするなよ。」 雄二は小さく頷いて、囁くようにありがとうと耳元で言ってきた。
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