第6章

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誰もいなそうな場所を見渡して探す。 角のあいている場所を見つけた。 「雄二、俺あそこで身体動かしてるから、動けるようになったら誰かに相手してもらって。」 「はいよー。」 なんとか声が出せるようになった雄二は復活まで少し時間がかかりそうだった。 その間に俺は角へ移動してひとりで身体を動かしていく。 全身の筋肉を使うように、無駄をなくすように、出来るだけ早く。 道場内から視線を感じた。 みんな休憩しているのだろうか。 周りの音を聞きながら、気配を感じながら、俺はひたすら身体を動かしていた。 「綺麗な型だろ。」 哲の声が聞こえた。 哲はこの道場を管理している。 俺の師匠でもある人だ。 「すごいですね。前に戦っている場面みたことあるんですけど、スピードがあって、無駄がないように思いました。」 答えたのは雄二だった。 俺の眺めたところでつまらないと思うんだけど。 見本になるような上手いやつならいっぱいいるはずだ。 雄二に見られ続けることは少し恥ずかしくもあった。 だから早くそっちで始めてくれと思う。
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