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日が暮れてきた頃、俺はいい感じに汗を流していて、心地良い疲れと髪から流れ落ちる汗に、やりきった感じがした。
いくつかの視線を感じてそれぞれの方を順に見ていくと、やっぱりひとりは雄二で、頬を赤らめて見つめてきている。
今の俺の何がよかったのだろう。
雄二には後で聞くことにする。
他のまとまった視線の方を見ると、龍と廉が川霧と唯を連れて帰ってきていた。
4人も俺のほうをじっと見ているけれど、そこまでみられるほどの何をしていたのだろうか。
雄二が今日の訓練を終えたらしく此方に歩いてきた。
少し険しい顔をしているように思う。
「お疲れ。どうした?」
「どうしたじゃない。何色っぽい顔してんだよ。他のやつに見せるな。」
最後は小声だったけれど、しっかり聞き取れた。
「色っぽいって誰が?」
「蝶哉に決まってるだろ。」
言ってることがさっぱりだ。
「向こうではメガネしてるからわかりにくいんだけど、お前自分がどれだけ綺麗な顔してるかわかってないだろ。」
「俺は普通だと思うけど?」
雄二から大きなため息が聞こえた。
俺には雄二が格好良く見えるってことしかわからない。
雄二の汗まみれの姿のほうがよっぽど色っぽい。
わかってないのは雄二のほうだと思う。
みんな帰ってきたことだし、雄二も終わったことだし。
俺もこのへんで切り上げようと思った。
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