第7章

2/16

225人が本棚に入れています
本棚に追加
/274ページ
日が暮れてきた頃、俺はいい感じに汗を流していて、心地良い疲れと髪から流れ落ちる汗に、やりきった感じがした。 いくつかの視線を感じてそれぞれの方を順に見ていくと、やっぱりひとりは雄二で、頬を赤らめて見つめてきている。 今の俺の何がよかったのだろう。 雄二には後で聞くことにする。 他のまとまった視線の方を見ると、龍と廉が川霧と唯を連れて帰ってきていた。 4人も俺のほうをじっと見ているけれど、そこまでみられるほどの何をしていたのだろうか。 雄二が今日の訓練を終えたらしく此方に歩いてきた。 少し険しい顔をしているように思う。 「お疲れ。どうした?」 「どうしたじゃない。何色っぽい顔してんだよ。他のやつに見せるな。」 最後は小声だったけれど、しっかり聞き取れた。 「色っぽいって誰が?」 「蝶哉に決まってるだろ。」 言ってることがさっぱりだ。 「向こうではメガネしてるからわかりにくいんだけど、お前自分がどれだけ綺麗な顔してるかわかってないだろ。」 「俺は普通だと思うけど?」 雄二から大きなため息が聞こえた。 俺には雄二が格好良く見えるってことしかわからない。 雄二の汗まみれの姿のほうがよっぽど色っぽい。 わかってないのは雄二のほうだと思う。 みんな帰ってきたことだし、雄二も終わったことだし。 俺もこのへんで切り上げようと思った。
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!

225人が本棚に入れています
本棚に追加