……ずっと待ってるから

5/10
前へ
/10ページ
次へ
見上げた空には、闇夜に切れ目を入れたような三日月が浮かんでいた。 無性に煙草が吸いたかった。 血まみれのポケットをまさぐり、ラッキーストライクを口にくわえた。 小気味の良いギャッツビーの開閉音を響かせて、煙をたなびかす。 「ずっと待ってるから……」 ふと、そんな声が聞こえたような気がした。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加