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佐々木はパソコンを叩いて、急いで仕事を終わらせる。
彼は記事の締切に追われていた。
あと少し。そう思い急いでキーボードで取材した出来事を書き上げていく。
こんなものを読んで読者はどう思うのか考えろ。
これかが編集長の口癖だ。
「こんな記事で売れると思うのか。もう1回書き起こしからやり直せ」
その言葉を思い出すと腹が立つがそれもしょうがない。
調べてる事案が圧倒的につまらないのだ。
近隣同士のいざこざなんて世間は笑い事にして終わりだ。
もっとでかい記事が欲しい。俺の為に事件よ、起きろ。
キーボードに八つ当たりするかのようにタイピングしてる彼はそう考えていた。
夜が更け、いつからが夜だったのかも思い出せなくなる。夢を叶えてくれるドラえもんが来るのではないかとじっと引き出しを見つめ、そんなことはないかと笑いがこみ上げてきて、歌い出す。
「アンアンアン、とっても大好きドラえーもーんっと」
エンターキーを力いっぱいに押し、記事を完成させ編集長の机の上にコピーを置く。
「よろしくお願いします。編集長様」
とてもとても大きな石を担いでいるかのような疲れがどっと来る。
「帰るか」
彼はパソコンを閉じ、飲みかけのコーヒーを一気に飲み干すと眠気覚まし用に苦くしてたのを思い出し渋い顔をする。
鞄を持ち、書類を軽く整理する。その時、ポロッとメモがおちる。
危ない危ない、ネタはどこにあるか分からないんだ。
メモを拾い、電気を消す。
「お疲れ様です」
誰もいないオフィスから出る。
ネタはどこにあるか分からないんだ。
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