第1章

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やっぱりここにいたか。 B「おーい。生きてるかー?」 俺は目の前で膝を抱えて座る涙目の少女に話しかける。手にはラッピングされたチョコを持っている。 A「うるさい。」 返ってきたのはそのまま消えてしまいそうなほど弱々しい罵倒。いつもの威勢の良さは無くなっている。 B「てっきりそのチョコはあいつにあげると思ってたんだけどな。 渡す前からビビってんなら終わりだな。」 俺がそう言うと、彼女は勢いよく立ち上がった。 A「あんたに何がわかるのよ!」 そう残して、俺の脇のすぐ横を走り抜け夜の町へと消えていった。 俺はため息をつく。 B「わからねーよ。こんなお節介しようとしてるのも、なんでこんなに苦しいのかも。」 俺はポケットから小さな茶色の固まりを取り出し口の中に入れる。 舌を満足させたそれは涙まで止めてはくれなかった。
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