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知らない男の人が走ってくる。
その背後には、世にも恐ろしい姿の魑魅魍魎、つまるところ、妖。
ーーあぁ、祟られたのか。
塚を壊したか、三又の辻に魅いられたのか。
いずれにしろ、放ってはおけない。
「禁!」
柏手とともに紡いだ呪いで、妖の動きが止まる。
眼のない、窪んだ眼窩が僕を睨む。
今更、そんなものでビビりはしないが、いい気もしない。
すぐさま印を結び、九字を切る。
不可視の刃が妖を斬り裂き、在るべき場所に還す。
それが、僕の仕事。
界の守り人。
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