界の守り人

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「た、助かった」 息も切れ切れな男は、礼を言うと同時に、その場にへなへなと座り込んでしまった。 よく逃げ切れたものだ。 随分と追いかけ回されたのだろう。 額には、汗で髪の毛がぴったりと貼り付いていて、着衣は激しく乱れている。 それでも、ある程度運動の出来る人間なのか。 数分も座っていると、呼吸も落ち着いたようで、もう立ち上がれるまで回復したようだ。 あとは水でもあれば完璧かもしれないが、そうそう都合よく物事は運ばない。 それに、不要だろう。 「いや、ほんと助かった。それじゃ」 片手をヒラヒラと振って立ち去ろうとする男。 しかし、その手を僕は掴み、強引に引き留めた。 不振そうな顔をする男。 まぁ、当然の反応か。 見ず知らずの人間に引き留められる事など早々ない。 「なんだ!何かようか!」 態度を一変させる男。 ふむ、表と裏の顔を持ち、カッとなりやすい。 聞いていた通り。
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