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「あの私の名前呼びました?私一人でここに来たから迷子じゃないし何も忘れ物はしてないですよ。」
すると彼女は子供のような笑顔で
「いえいえそういう迷子センターじゃないんですよ。ここはあなたみたいな現実や将来に絶望している。いわゆる人生において、迷子になっている方がくる場所なんですよ。あ!申し遅れました。人生迷子センターのアドバイザーの崎島優衣です。」
私はジョンを亡くして悲しみにくれていることを、彼女に話してみた。なぜ、ここに呼ばれてなぜ、私のことを知っていたのか聞いてみたがどうやら依頼主とやらがいて、私を紹介したらしい。
「ここには自ら死を願うもの、他者の死から立ち直れないものなどいろいろ来ますがペットロスの方は初めてですね。よっぽど悲しいでしょうね。」
「はい。どうしたら立ち直れるでしょうか」
私は藁にでもすがる気持ちで尋ねた。
「別に無理に立ち直ろうとしなくていいですよ。好きな時に起き上がればいいんじゃないですか。悲しいことや辛いことを忘れよう、忘れようとするんじゃなくて、昨日の朝ごはんみたいに思い出しても大丈夫なようにすればいいとおもいます。」
私は彼女の言葉にハッとした。自分は忘れようと頑張りすぎてたから余計に苦しんでたのかもしれない。まるで今までの悲しみが氷みたいに溶けていくのが分かる。
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