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数日後
「晃希さん聞きましたよ。今度ライブハウスのとあるフェスにでるみたいですね!」
優衣はまるで自分のことのように嬉しそうに言った。
先日とあるバンドの篠口という男にライブハウスでフェスをやるから出て欲しいと言われたのだ。動画サイトに載せた動画をたまたまみて一緒に対バンしたくなったらしい。晃希自身そのバンドが大好きだったし出たいと思ったのだ。
「あの、篠口さんに僕が載せた動画みるように頼んだの崎島さんですよね?」
優衣は少し動揺していたがすぐに冷静な口調でに戻り
「え?何のことです?もし仮にそうだとしても曲を作ろうと思ったのも動画を載せようと思ったのも全部あなたの意志で選択したから今があるんですよ。」
「まあいいです。もしかしたら崎島さんが何かしたのかなって思ってしまっただけですから。まだ俺は途中だから誰から何と言われようと気にしませんよ。自分の為に音楽これからも続けます。そうすれば続ける理由はいつでも自分の中にあるじゃないすか。」
自然と心から笑ってしまった。それしか作れる表情がなかったのだ。
「この調子なら晃希さん大丈夫そうですね。依頼主さんが誰か言い忘れてましたね...。」
「いやあえて聞かないでおきます。あの、ずっと気にしてたんですけどお代はいくらでしょうか?」
「お代はいただかないことになっております。ただし一つ条件が人生迷子センターが必要じゃないかと思う方がいらっしゃったらその方の依頼主になっていただけますか?」
「分かりました。あ、もう帰らなきゃ」
そういうと晃希は走りさっていった。
優衣はその背中を見えなくなるまで見ていた。
この世界を全て闇しかないと捉えるのは全て光だと思い込むのと同じくらい浅ましいことなのかもしれない。
~完~
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