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案の定、聖護の手の方が大きくて少しばかり敗北感を感じた。
それでもこの場所に居心地のよさを感じて、この手を離せない。
何度か聖護の手をポンポンと跳ねさせて遊んだ後、その指が絡むのはごく自然なことだった。
恥ずかしさに埋もれそうになって俯くと首筋に聖護の唇が触れ、如実にそっちの方向へと進んでいく空気に絡めた指にも力が入る。
次第に大きくなる動き。
耳の裏や、肩に聖護の唇が這う度に熱い息が漏れてしまう。
それをいつもみたいに拒めないのは、自分も飢えていたからだと認めざるを得なかった。
「……菫梨くん」
ただ耳元で小さく名前を呼ばれただけで、それが「こっち向いて」と呼ばれたような気がして振り向けば、そこにはちゃんと熱を帯びた息を漏らす唇があった。
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