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「雪成、一緒に寝てもいいだか?」
「いつも寝てるじゃん」
「いつもはイタチ姿でねぇとベッドに上がらしてくんねぇべ!」
ボクのベッドはそんなに大きくないシングルサイズだし、人間姿の風牙が一緒に寝たら邪魔なだけだ。
でも、今日くらいはいいかな。
「いいよ。でも今日だけねー」
ボクが許可すると風牙がいそいそとボクの隣に寝転がる。
「雪成、大好きだー」
そして幸せを噛み締めるように、風牙がボクの身体をしっかりと抱き締めた。
「雪成は? オラが好きだか?」
「嫌いじゃない……かな」
「という事は好きって事だな!」
鮎子にも負けないくらいのポジティブさで納得した風牙は、嬉しそうにボクの身体をギュウギュウ締め付ける。
「また雪成に幸せな気持ちを貰っただ。ありがとな」
チュッと口唇にキスを落とされ、心地良い風牙の体温に包まれながら、ボクはゆっくりと目を閉じた。
風牙が喜んでくれてボクも嬉しい、だなんて風牙には言わない。
調子に乗るだけだろうし。
とりあえずホワイトデーまでに、お返しに川魚は要らないって言い聞かせておかないとね!
【終】
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