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「ユナ、ボウル押さえててくれる?」
「ユナが生クリーム入れたい!」
「ダメだよ~、ちょっと待っててね」
実家の台所で姪っ子のユナと二人、バレンタイン用のチョコレート作り。
ユナの母親である俺の姉は旦那さんには既製品を買ったって言っていて、ユナも作るつもりは無かったのに俺が作り始めると「ユナも作りたい!」と言い出したのだ。
鍋で温めた生クリームをボウルに注ごうとしてるとユナが手を出してきて、かなりの量が入ってしまった。
これ、固まらないよね~。
「ユナの分はこっちのボウルね。これをカップに入れて……」
湯煎したチョコレートを別のボウルにも分けていた。
それをユナに渡したのに、ユナはトリュフ用の生クリーム入りがいいらしい。
「いやー、ユナもこっちの!」
「え、あ、ぁあっ!」
ユナが台の上の生クリーム入りのボウルに飛び付き、その勢いでボウルがクルリとひっくり返った。
「あ……ごめんなさい……」
ひっくり返ったボウルから零れたチョコレートが俺の手だけじゃなく顔にまで跳ねてしまっている。
「大丈夫~、チョコはまだあるし。ユナはすぐにごめんなさいを言えるいい子だね~」
今にも泣きそうになってしまっているユナを宥めるようにそう言って、「大丈夫」とニッコリ笑いかけた。
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