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Fate/Ture night プロローグ
命ってのは何なのだろう。
僕はそれを生まれた時から、というのは
大袈裟だけれど、考えている。
正確に言えば、物心がついた時、僕の場合は5歳の時からだ。
人々は皆、命というものを蔑ろに、というよりは道具として扱っている。
例えば、子供ならば遊び道具。公園で虫を捕まえ、好き勝手に殺したり脚をもいだりして、飽きたら捨てる。ゴミのように捨てる。まぁ、実際ゴミと感じているのかもしれないが。
例えば、大人なら商売道具。愛情という名の食欲を振りまき、テレビの前では良い人ぶって育て、最後は何も思わず殺して食べる。お前は人間様の餌だと、人間様の糧だと、そう突きつけるように。
そうやって彼らは、いや、人間たちは命を蔑ろにして生きていると思う。
堂々と生き物を殺して、当たり前のように殺して、そしてそれが人類社会の為だと宣言するかのように。
そうして彼らは何百、何千の生き物を
絶滅させてきたんだ。
だと言うのに関わらずいざ食糧問題が起きた瞬間こう言うのだ。
『動物を守るために頑張りましょう』と。
まるで自分たち人間が、地球を、生命を守る正義のヒーローかのように、言うのだ。宣言するのだ。
今の今まで殺し続けておいてこれである。動物を、地球を守る為ならば人間が絶滅した方が圧倒的に良い筈なのに彼ら人間は他の動物を殺すか、偽善者ぶって守る事しかしない。
まるで、『守ってやるんだから人間様に貢献しろよ』と言わんばかりに。
分からない。
意味が分からない。
価値が分からない。
人間が動物を殺す。許される。
動物が人間を殺す。許されない。
人間が動物を殺す。許される。
人間が人間を殺す。許されない。
何故?何故?如何して?
そして何よりも何故、僕はそんな命が絶える所を見てこんなにも胸が満たされるのか。
命が死ぬところを見て、感じて、そして殺して、何故こんなにも、心が満たされるのか。胸が満たされるのか。
分からない。
あと少し。あと少しの所なのに分からない。
何かが引っかかる。
時より見えるあの赤黒い線と点。あれが分かれば、僕はこの胸の塊が解消すると感じる。
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